2010年4月 1日 (木)

風のバトン In the Wind 第二章 第39話

風のバトン In the Wind 第二章 第39話

前回までの話↓

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「じゃあ、攻撃だが、わかってるな、実戦になれることだ」

1番バッターはなんと藤村だった。

「藤村あぁ、ダブルで頼むぞ!」

「おい、あのピッチャーが一番を打つのか?」

「どうもそうらしいですね。何しろ、実戦は、はじめて見ますから」

「ダブルでいいとはどういう意味だ、まさか2塁打を打つつもりなのか?あのピッチャーもうちの3,4番と並んで来年のドラフト候補だぞ。すでに10球団ほどが毎日のように偵察に来ているんだ」

「そうですか、そりゃあ、いい相手に巡りあえました、なにしろ」

「ええーい、もおお」

そう前田監督が言い終わらないうちに、打球はライトのセンターよりに飛んでいた。

普通なら、シングルヒットだろうが、藤村は止まらない。ライトからの返球がセカンドに来たときには、藤村はすでにベースの上に立っていた。スタンディング・ダブルである。

またまた、応援団の声がすごい。

みんな抱き合って喜んでいる。

「想像以上だわ、あのイガグリ君」

「コーチ、あのイガグリ君、藤村君ですよね。すごいですう」

「なんだあ、あいつ、さっきのピッチングもすごいが、バッティングセンスも走塁もすごい。どこにいたんだ、あんあやつが。しかし、どうやら、あのイガグリ頭のワンマンチームのようだな。だったら、これまでだ」

2番は左の亀井だった。身長だけなら木下よりも高いだろう。

「亀井い、サインは無しだ、思いっきり打ってみろ」

第1球が投じられた。だがそのときには藤村はサードを狙って走っていた。キャッチャーがサードに投げようとしたときには、すでに藤村はサードを陥れていたのである。

また、また応援団が大騒ぎである。

「藤村クーン」「ふじむらっくーん」

「さすがは、4継の第一走者ね。ものが違うわ」

古田も舌を巻いた。

「どうなってるんだ、おい、品村、俺はまだ寝ぼけてるのか?」

「さあ、私も見るのは初めてですから」

その間に亀井はピッチャーフライに終わった。

「いいぞ、いいぞ、あのボールに当てたんだから、たいしたものだ。次は打てるさ。よーし、木下、4つだ」

「おう、任しておいてください」

木下は、左バッターボックスに入る前に、大きなスイングで、3度、4度。

すでに狼狽している前田監督は言った。

「4っつだと、おまえのとこは、あの藤村とか言うイガグリ頭のワンマンチームじゃないのか」

「さあ、私も見るのは・・わおおおお」

前田監督も木下の打球を追ってガバッと顔を上げた。

その打球は外野のフェンスを越えていた。

「すごいよ、すごいよ、純ちゃん、すごすぎるよ」

弥生は体を震わせていた。

もちろん応援団が大騒ぎしている。

蝶子が弥生に言った。

「木下君て、何でもすごいんだね、私、うらやましいわ」

蝶子は、堀井君はどんなプレイをするんだろうか、応援団席の前まで行って、身を乗り出し、ベンチの中を覗こうとしていた。

そして、風間もまた強烈な打球で、外野フェンスを直撃。あまりの打球の強さにシングルヒットとなった。

応援団席もさることながら、前田監督は顔色を失っていた。

「問題は、次の小笠原だなあ、打順もこれでいいとは思えないが」

小笠原は、練習の成果を生かして、送りバントを決めた。

「僕はどうしましょうか?」

今井は、谷田監督に聞いてみた。

「次は堀井だから、練習にはならん。好きにして来い。上の連中を喜ばせてやれや」

今井は、応援団席に向かって、バットを構え、そのまま反転すると、外野席に向けた。

応援席はざわめいた。

「今のは何?」

「ホームランを打つってことなの?」

「なにいいい、あのやろう、予告ホームランのつもりかあ」

「そうみたいですね。あいつは目立ちたがり屋ですから。さっきのダブルプレーもそうでしたでしょ、何もあそこまでやる必要はないんだ」

大宮西野高校のバッテリーも頭に来てた。だが結果は、応援団を喜ばせることとなった。

「堀井、俺たちはお前のことはようわからん。好きにしてくれ」

谷田監督はそう言ったが、3点目のホームを踏んだ風間は付け加えた。

「遠慮するなよ。一番遠くまで飛ばして来い!」

蝶子はそわそわしていた。1年生のビッグ4である、藤村、木下、今井はすでに恐るべき結果を出している。一番足の速い堀井君は彼らに比べどうなのだろう。

あっ、あれっ、蝶子には、右バッターボックスに向かう堀井の周りに風が吹いているように見えた。

ドキドキしていた。これはなに?

キャッチャーがただならぬ気配を感じたようだった。

「いいかあ、落ち着け。低めだ、低め、おまえのボールは来てるんだから」

一生懸命、ミットで抑えるように指示を出した。

一球目は、外角いっぱい。

「ナイスピーよ」

「おい、あいつか、堀井翔とかいうスプリンターは」

「おや、ご存知でしたか」

「そりゃあ、そうだが、あいつ、野球もできるのか?」

「いやあ、私は、実戦で見るのは・・」

キン!

堀井のバットから金属音がこだました。

「きゃああああー、行けええええ、行けええ」

蝶子は他の誰よりも大声を出していた。

ゆっくりとグラウンドを一周する堀井の姿は、いつものランニングをするときのそれだった。

今井がホームランを打ったさいにやった、ソク転からバク転みたいな派手なことはやらなかった。

 

2回を投げた藤村に代わり、マウンドには木下が立っていた。外野の亀井がファーストに入り、藤村はライトを守った。

左腕、スリークオーター気味のフォームから繰り出される、速球と変化球には、左打者は何もできなかった。右打者はといえば、クロスファイヤーの気味で向かってくる球に体ごと引けてしまっている。

「あの男はピッチャーもやるのか、すごいやつだなあ・・・もっと勉強させたいが、時間だ、今日はこれまでにしてくれんか」

「あ、そうですね、ありがとうございました。」

「いや、礼を言うのはこちらだ、また明日も頼む。それどころか、競技会が終わったら、練習試合を頼みたい。何試合できるかわからんが、少しでも多いほうがいい。考えといてくれないか」

前田監督は深々と頭を下げた。

「と、とんでもないです、こちらこそ、こんなすばらしいグランドで、すばらしいナインを相手にさせていただき感謝しています。それからですね、堀井も投げますから」

「な、あいつまでもか?」

「ボールの速さ、フォークボールは・・・たぶん、・・・超一球品だと聞いています」

「そ、そうか、それは楽しみだな、よーし、うちのやつらを鍛えなおそうじゃないか。いや、鍛えてもらいたい」

品村は前田監督とがっちり握手をした。目指すは、高校の部、大学の部、ともに明治神宮大会の優勝である。

こうして、星緑院大学の面々は大学へと戻った。

一方の応援団である女子部員たちが帰りのマイクロバスの中で、未だ興奮冷めやらずというところか、その騒がしさは、これから先、大きな不安を抱かせるに十分だった。

「あ、お弁当・・・」

風のバトン In the Wind 第二章 第40話に続く

風のバトン In the Wind 第二章 第38話

風のバトン In the Wind 第二章 第38話

前回までの話↓

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めずらしく、古田美奈コーチがグランドに来ていた。100mのスタート地点でなにやら説明している様子だ。

そこへ、ドタバタと息を切らせながら渡瀬弥生が走ってきた。

「おやおや、思考と手足がバラバラね、それじゃあ、マネージャ時代のあなたの走り方じゃないの。何かあったのね?」

「もう、冗談じゃないですよ、はあ、はあ、古田コーチ、弥生は、はあ、もう付いていけません」

「だからどうしたのよ?」

「品村コーチったらひどいんです。20日は競技会の1次予選と2次予選です。その3日前、17日に、男子の野球部は、練習試合をするって言うんですよ」

「えー、知ってるわよ。甲子園出場常連校の大宮西野高校とやるんでしょ」

「だって、3日後には、100mと4継の予選ですよ。いいんですか?」

「大丈夫じゃないの、私は、17,18日の早朝に練習試合を2試合すると聞いてるわよ」

「そんなの無理です。それじゃあ、今でさえ、夕方会うのも難しいのに、朝から練習試合なんかしたら、もう大会が終わるまで、会えませんよ!」

それを聞いた、蝶子をはじめとした、つばさも、しのぶも、誰もがどきりとした。

「何言ってるの、弥生、あなたは自分がなにを言ってるのかわかってるの?」

「だって、ずっと話もできませんよ!そんなのってありなんですか!ずっと練習だけで、しばらくは純、あ、木下君と会えなくなるじゃないですか!」

弥生はすでに涙を流している。

古田はクスリと笑った。

「だったら、その練習試合に応援に行けばいいじゃない。私も興味があるわ。だって初めての実戦になるわけよね」

「あ・・・でも、それじゃあ、4継の練習がおろそかになります。せっかく市営競技場を借りてるのに。タータントラックでは、まだ練習が足りないから・・・」

「ふふふ、それは付け足しなんでしょ?いいじゃない、品村コーチを始め、メンバーも納得してるのだから」

「でもおぉ・・・それじゃあ、ますます会えなくなります。しくしく」

蝶子や、つばさの眼が光った。

「私、応援に行きます。お弁当作ってくんで、食べてもらいたいです」

「あ、それ、私も」

ほとんどの部員が応援に行きたいと言い出した。

誰もが、神宮大会でも優勝して見せると大見得を切った、風間たちの野球がどんなものかを知らないのだ。

「わかったわ、私が、マイクロバスの手配をするから、朝5時に正門前に来て頂戴」

エーン、エーン、弥生はわざと声を上げて泣いてしまった。

早朝6時、すでに大宮西野高校の野球専用グラウンドでは、試合が始まろうとしていた。

なぜか、品村は相手ベンチにいて、西野高校の前田監督の側で話していた。

「おい、品村、本当に大丈夫なんだろうなあ、おまえの願いだから無理したんだけど、我が高も、神宮大会高校の部ではエントリーされてるんだからな、つまらん試合をしたらただじゃおかんぞ」

「まあ、まあ、先輩、私もまだ実戦は見たことが無いって言ったじゃないですか。何を隠そう、これが彼らの初戦なんですから・・・自信をなくさねばいいんですがね」

「まあ、だめだと思ったら、試合を打ち切るまでだ」

マウンドには藤村が立っていた。1塁に木下、2塁が鈴木、3塁が小笠原、遊撃手に今井、左翼に松本、中堅に堀井、右翼には亀井がいた。

「さあ、やってやるぞおお、みんな、緊張するんじゃねーぞおお」

大声を張り上げたのは捕手の風間だった。

「よーし、サード、小笠原から行ってみようかあ」

風間は左バッターボックスに1番打者が立つと、構える前に、そう叫んだ。

藤村はコクリとうなずく。

「なに?おい、品村、どういうつもりだ。あの投手のスピードなら、らくらくホームランだぜ」

「さあ、何しろ私も見るのは初めてですから」

二人の会話の間に、バットがボールを叩く音がした。

「サード!」

打球は激しく小笠原の前でバウンドし、その胸に当たった。慌てて拾う小笠原だったが、ボールに手がつかない。

「よーし、オーケー、オーケー。それでいいぞ。じゃあ、もう一度いってみるか」

2番バッターは、右バッターボックスから、どうしたものかと前田監督を見た。

「かまわん、好きなように打て!大きいのでかまわんぞお」

「おや、おや、送らないんですか?」

「サードに打たせると言ってるんだぞ、内角に来るんだろう、思いっきりホームランを打たせてもらうさ」

1球目は外角へのゆるいスライダーだった。

2番バッターは、前につんのめりそうにながら、見送ってしまった。ストライクである。

「なるほど、サードへ打たせるというのはブラフか?」

「まさかでしょう、風間と藤村はそういうことはしませんよ」

藤村の2球目は、バッターが待ってましたと振ることができる内角の真ん中の高さである。

「しめた!」

しかし、思いっきり振った打球は、力なくサードの前に転がった。ダッシュで手に取った小笠原は、1塁へめがけて投げた。

しかし、その送球は、木下のライトよりに反れ、しかも高かった。だが木下の反応はすごかった。思いっきりジャンプしてキャッチしてしまったのだ。だが1,2塁オールセーフだ。

「きゃっ、純ちゃん、カッコイイ」

弥生は両手を胸の前で合わせて喜んだ。他の応援団もまた、キャイ、キャイ、喜んだ。

「ほう、あのファーストはやるなあ」

「そうですかね、1,2番ともサードに打たされてますが?」

「うむ、カットボールかなあ、沈む球を投げているんだろうなあ。一見打ちやすそうだが」

「サード!ドンマイ、ドンマイ、今ので十分だ。じゃあ、次はセカンドだ、鈴木、行くぞ!」

これには、来年のドラフト候補生の一人でもある、左打ちの3番バッターもカチンと来た。ボックスをはずし、2度、3度と素振りをくれた。

「ほう、ナイススイング、一丁、セカンドに打ってくれや」

藤村は1塁、2塁を目でけん制しながら、真ん中高めに投げた。

バッターが思いっきり振ったところで、ボールは大きく内角へ曲がった。

「し、しまった」

バッターがそう思ったときはすでに遅かった。打球はつまった感じで、鈴木のグラブに納まり、ボールはショートの今井のグラブに納まった。その瞬間、一塁ランナーのスパイクが今井を襲う。

今井は、何事も無かったようにジャンプしながらボールをファーストに投げ、ランナーを交わして、前転し立ち上がった。木下は、思いっきり右足を伸ばすとズッと滑らせ、ぴたりとグランドに。それはダブルプレーの完成だった。

「きゃあああああ」「キャアアア」

応援団は大騒ぎだった。

「なに、あれ、見たあ、見ました、コーチ」

「うん、今井君てあんなにすごいんだ!びっくりしちゃう」

「今井クーン!」

みんなの声が飛ぶ。

今井は、軽く帽子を取って答えた。

「なんだ、あのショートは、あんなプレー、日本のプロでもなかなかお目にかかれないぞ。それにファーストのやろう。やつらは何者だ?」

「私も初めて見るんですからね。それより、3人とも注文どおりに打たされましたね」

「くっ、だが、4番こそ来年のドラフトの超目玉だ。ランナーは3塁にいる。あのピッチャーじゃ持つまい。でもなあ、敬遠はなしだぞ」

「当然でしょう、胸を借りてるわけだし、逃げてどうします」

「よーし、藤村、3球でいいぞ」

サードに目をやりながら、藤村はうなずいた。

前田監督が驚いた。3度続けて息を呑んだ。

「なんなんだ、あのピッチャー、っ知らんぞ。俺は藤村など去年聞いたこともなかった」

「ほらね、送っとけばよかったでしょう?」

「よーし、ご苦労さん。みんな上出来だ」

選手がベンチに駆け寄ってくるのを迎えたのは、谷田監督である。

「鈴木、おまえやるじゃないか、小笠原もなかなかいいぞ、後ろにそらさなければおまえの勝ちだ」

風のバトン In the Wind 第二章 第39話に続く

http://abil.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/inthewind-c576.html

2009年4月23日 (木)

400字詰め原稿用紙500枚の予定が660枚になってしまった

困った。

調子に乗って書いていたら、40字×30行、つまり1200文字。3枚分だ。それが227枚になっている。

あれ、681枚相当じゃないか。どうしよう。181枚分もカットできないよなあ。もちろん空行も入れてただけど。

章と章との間には改ページもあるけど、改ページをやめてどうなるか。338609135_177s

31章あるので、30の改ページがある。半分がスペースとして、22ページ相当が短くなる勘定。やっぱり660ページ分ぐらいはあるなあ。

すると160ページ分をカットするのか。297540944_179s

気に食わないところをカットするかあ、それとも別のを書くか。

ま、いいや、なるようにしかならん。

2008年12月16日 (火)

麻生丸、沈没か?

麻生丸、沈没か?

「麻生丸、沈没だそうだなあ」  6446525_3376480254

「たろうなあ」

はあ?麻生首相があぶないんだぞ!そんな非国民!

「ばかいえ、あんなのが首相になってよお、なにがどうなったんだ?ただ漢字が読めやしないってせけんにさらしただけだろうが」

なんで富士山の写真が?
「あそうか、だいたいあいつの話、いきなりヒマラヤやろうが、犬と一緒たい」

あ、あれはさあ、官僚が書いたのを読み間違えただけだよ。

「テイマイ、じゃなくてよお、てめえの言葉でしゃべらんかい、がきの使いや」

どうも、お目を悪くされてるようだしさ。

「だったらなおさらだろう、自分の言葉を使えばよかっちゃなかかとかあ、福岡弁でしゃべらんかい!」

したら、北海道人がしばれた口で何も話さんよ。たろ。

「そこたい!♪熱き~・・・・北のおおおお、そげなうたがあったろうが。何でじぶんのことばをしゃべらんとや」

太郎坊ちゃまはなあ、いままで自分で作文をしたことがないとかもよ。

「ほう、だいいたんなやっちゃねえ、あんたも。出身はどこな?」

いやああ、ほんというとなあ、川向たい。

「なんやてかあ、直方か、ええ?」

ばってん、いまは夕張におるけんが、あんまり大きな声で言えんとたい。

「あ!そう。そげんこつかい」

たろ。

「いやあ、よか太郎、あ、そがんか、よか、よか、のう民主とうて、しょうがなかじゃろう」

たろ。こげん、話で、みなしゃんは納得ばしてくれるっとやろうか?

「よか、よか、来年になったら、みんな死ぬっちゃけん」

へ?殺されるかもしれんど?

「ばかか、そん前にくさ、みんな死んどるちゃけんが」

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